日本でのインクルーシブ教育に不安を感じるのは保護者だけではない現状

インクルーシブ教育

先日、国連が日本の学校教育に対して特別支援教育を中止するように勧告をしました。

Twitter上の反応を見る限り、不安を感じている保護者の方が多いようですが、あまり不安を感じる必要はないので、どうか一つの報道だけで心を揺らすことがないようにしてください。

国連から勧告があったために、日本では、というか文部科学省は何か対策を講じるでしょうが、それにはそれ相応の資金が必要なわけですし、そもそもインクルーシブ教育を本格的に実施するのであれば、学校教育そのものをまるっと変える必要も出てくると私は思っています。

 

今回は、今の日本の学校教育において、インクルーシブ教育の実現がまだ難しい理由についてお話ししていきます。

 

 

実は準備を進めている?!インクルーシブ教育

あまりご存知ない方もいらっしゃいますが、実はインクルーシブ教育の準備は少しずつ進めらてれいます。

文部科学省としては、平成19年度(2007年度)からの「特別支援教育」を皮切りに、本格的なインクルーシブ教育を進めていく予定だったのだと思います。(そういう施策だったので)

でも、それは結局、平成19年度より前の特殊教育がさらに進んでしまった形になってしまったような気がします。

2007年から15年経過した2022年現在の学校教育を見れば一目瞭然ですよね。

私から見ると、支援をさらに小分けにした結果が今の特別支援教育だと思います。

 

当初の文部科学省の理想とは、かけ離れてしまったのだと思いますが、各都道府県市区町村で進めてきた特別支援教育に、国は大きな予算をかけることはしませんでしたし、それは今も変わりません。

これでは、いくらインクルーシブ教育を進めたいとしても、進めることが困難なのは一目瞭然ですよね。

 

予算をかけない分、実施している工夫があります。

それは、教員の人事での工夫です。

確かな情報として私のところに入ってきている情報ではありませんが、新規採用の教員を特別支援教育に携わるよう、通級学級や特別支援教室、それから特別支援学級に配属するようにしています。

新規採用教員を、です。。。。

詳しいことは、ブログには書けませんので、メルマガで発信するようにしています。

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保護者、そして学校の先生の考えは?

日本のインクルーシブ教育について、熱心に活動なさっている団体があります。

それは「障害児を普通学校へ・全国連絡会」です。

 

この団体では、就学の相談も受け付けているようですが、私もこの「就学」に関しての保護者の皆さんの不安や苦労などを、もう何年も何年も目の当たりにしてきています。

通常の学級に通うのであれば、何の苦労もなく就学できるというのに、特別支援教育を受けるとなると、さまざまな手続きが待っているのです。

こういうことは、当然、保護者の方はご存知ないため、年中組の今くらいから就学先が決まるまでの間中、不安を抱えたままの生活になってしまいがちなのです。

 

 

さて、今現在、学校に通っているお子さんの保護者の皆さん、それから学校現場で子どもの育ちに尽力している教員は、日本でのインクルーシブ教育についてどのように感じているのでしょう。

 

私が見聞きすることだけで言えば、保護者の方、それから教員それぞれ今の学校教育のままでは難しいと感じている人が大多数です。

つまり、国連の勧告に対して早急に行動し、インクルーシブ教育をものすごく急いで実施すること自体が非常に難しい状況にある、ということが現段階で言えます。

万が一、そういう事態が起こったとしたら、日本のインクルーシブ教育は、私たちがイメージするようなインクルーシブ教育とはかけ離れた教育になることでしょう。

 

 

あきらめないで!日本のインクルーシブ教育

日本でのインクルーシブ教育。

先ほどもお話ししたように、政府が全く考えていないわけではありません。

もう20年以上前からインクルーシブ教育について、考えられているのです。

そして、それを実践している学校もあるのです。

 

私が新規採用の教員だった頃、東北地方のとある学校でインクルーシブ教育の研究校があり、全国の学校(だと思います)の校長たちが視察に行った、ということがありましたし、また、それより前にも北陸地方のとある県でインクルーシブ教育が実践されていました。(廃版になっていますが、書籍として残されています)

 

東京都だけかもしれませんが、特別支援学校に通っているお子さんには「副籍」という制度を利用して、そのお子さんが住んでいる地域の学校と交流を持つことができます。

 

さらに、今の特別支援教育で言えば、平成19年度までは特別支援教育の対象でなかった通常の学級に在籍している児童生徒たちが、特別支援教育を受けることができる制度が整いました。

どのような児童生徒が特別支援教育を受けることができなかったのか、というと、知的障害はないけれど、当時の学校教育を受けるためには何かしらの支援が必要だった児童生徒です。

そういうお子さんたちのこれまでは、というと、特別支援教育を受けられないままだったり、受けたいとしたら知的障害のあるお子さんが通う障害児学級(今の特別支援学級)に通う選択肢しかありませんでした。

 

以上のことを考えると、日本の特別支援教育も試行錯誤する中で、インクルーシブ教育を目指していることが伺えます。

しかしながら、まだまだ学校現場や保護者の皆さん、それから文部科学省の考えが一致していなかったり、一致している部分があっても、それぞれかけ離れた考えの方が多かったりしているのが現状だと私は思います。

 

 

インクルーシブ教育について、早急に進めることは難しいでしょうが、特別支援教育だけでなく、支援が必要かどうか関係なしに、一人ひとりのお子さんに見合った学校教育がなされると良いと私は考えています。

 

 

今日も最後までお読みいただきしまして、どうもありがとうございました。